大学への留学

一般にフィリピン留学というと、民間の英語学校や語学学校に留学して英語を学ぶことを指す。このタイプの留学がフィリピンでは圧倒的多数なのであるが、フィリピンの大学に留学することも可能であることはあまり知られていない。留学するだけの価値がフィリピンの大学にあるかどうかは別として、フィリピンでの大学留学についても考えてみよう。

大学への留学

日本や韓国で人気のフィリピン留学だが、留学先は基本的に民間の語学学校である。日本で言うところのNOVAやAEONのような語学学校に通って英語を学ぶ。これがいわゆるフィリピン留学である。日本人がフィリピン留学に求めるものは英語の習得なのであるから、こうなるのはごく自然なことである。

世界には語学学校ではなく大学に留学して語学を学ぶケースもある。代表的なのはこちらも人気の中国留学である。中国語を学ぶために留学するのだが、留学先は民間の語学学校ではなく大学であることがほとんどである。香港や台湾も同様であり、民間の学校ではなく大学で語学を学ぶのがメジャーな留学スタイルである。

これに対してフィリピンでは大学に留学して英語を学ぶのは極めて特殊なマイナーケースである。フィリピンの大学に留学している外国人はもちろんいるのだが、彼らは大学で英語を学んでいるのではない。医学や法学、農学など専門科目を学んでいるのである。これがフィリピンにおける大学留学である。

フィリピンの大学

では、フィリピンにはどのような大学があるのだろうか。実はフィリピンは東南アジアの教育大国であり、国民の大学進学率は30%に達する。先進国である日本における大学進学率が50%なので、発展途上国にありながらフィリピンの大学進学率がいかに高いかがお分かりいただけるだろう。

それだけ多くの国民が大学に進学するのであるから、フィリピンにはもちろん数多くの大学がある。しかし、専門科目を学ぶために高等教育機関である大学に留学に来るのである。その留学先となる大学は当然のことながら優秀な大学であることが求められるであろう。ここではフィリピンでベスト5とされる大学を見てみよう。

まずトップはフィリピン国立大学である。フィリピンの最高学府、フィリピンの東大に当たる大学で、マニラ投稿のケソンシティのメインキャンパスの他に、セブやバギオなどフィリピンの複数の都市にサブキャンパスを持つ。自然科学はラグナ校、医学部はマニラ校などキャンパスごとに学部が分かれているのが特徴である。

第2位はアテネオ大学である。ここはフィリピンの富裕層が集まる大学として知られており、庶民の秀才が集まるフィリピン国立大学とよく対比して語られる。フィリピン国立大学のすぐ近くにキャンパスがあるが、自動車通学の学生が多いため、登下校時には周辺の道路が渋滞するほどであり、フィリピンの慶応大学とも呼ばれる。

第3位はデラサール大学。ミッション系の大学で、アテネオ大学同様にこちらも富裕層の子弟が集まる。日本で言うと上智大学、青山学院大学に相当すると考えればよいだろうか。第4位はサント・トーマス大学である。こちらは400年以上の歴史を誇るアジアで最も古い大学として知られている。

第4位まではすべてマニラにある大学で、順位はほぼ不動である。5位は2012年の場合、フィリピン南部ミンダナオ島のダバオ市にあるサウス・イースタン大学だった。

では、果たしてこれらの大学は日本人にとって専門科目を学ぶ留学先となりうるのだろうか。2012年の大学世界ランキングによると、フィリピン首位のフィリピン国立大学は全世界では68位である。アテネオ大学が86位、デラサール大学が142位、サウス・イースタン大学に至っては251位である。ちなみに日本でトップの東京大学は世界30位である。わざわざフィリピンに行く価値はありそうに思えない。

大学の卒業資格

フィリピン留学エージェントのサイトを見ていると、CDU(Cebu Doctors' University、セブ医科大学)やUSP(University of Southern Philippines、南フィリピン大学)といった学校名を目にする。これらの語学学校は大学の附属機関なのだろうか。これらの学校に留学すれば大学の卒業資格を得られるのだろうか。

これらの語学学校が大学と関係を持っていることはその通りである。関係なしに大学の名前を語れるわけがない。ただしその関係とは、名義貸し、場所貸しに近いものがある。民間の語学学校経営者が大学の建物を借りて学校を運営しているといったものがその代表的なものだ。また、大学から教員の派遣紹介を受けたり、体育館など学校の施設を使わせてもらったりというケースもある。

大学の卒業資格が得られるかというと、得られるわけがない。普通に考えれば分かることだ。大学の卒業資格つまり学士号は、入学選抜を受けて大学に入学し、大学で4年間授業を受けて単位を習得し、卒業論文を書いてそれが認定されて初めて得られるものである。

それに対してフィリピンでの語学留学では、入学選抜などなく授業料さえ払えば誰でも入学できる。4年も英語だけ勉強するわけがなく、長くても3ヶ月程度というのが一般的で、単位取得も卒業論文もない。それが建物が大学の敷地内にあるだけで卒業資格が得られるなどあるわけがない。勉強する場所が大学の敷地内であろうと外であろうと、語学留学はあくまでも語学留学なのだ。